母 88歳

88歳の母

   5年前に 病気の父と山の中の家を売って都会に越してきてもらった。一年も住まない間に父は他界し 母が残された。 あれからいろいろあったが ナントか一人で毎日過ごしてくれていたが 今年になりこの夏の暑さ、いよいよグチっぽくなってきた。毎回行けばグチばかり聞かされ 「もう生きていたくない」とか 「あと二年もたったら一人では暮らせないよ」とか「田舎はよかったぁ」とかことさら悲観的なことしか言わない。「いよいよの時は大丈夫だから 毎日少しでも健康に暮らせるように転ばないでよ」と言うのが精一杯で 仕方ないのだろうといつも黙って聞いてはいるが もう少し毎日を有意義に過ごしてほしいと願っている。最近帰り際の母の顔が寂しそうなのは気のせいだろうか…